銀行評価を下げずに節税できる減価償却費を増やす具体的な3つの方法

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前回の記事では、銀行評価を下げずに節税をするにはその結論は減価償却および営業外費用・特別損失を増やすのがもっとも効果的であるということをお伝えしました。
今回の記事ではまず減価償却費を増やす3つの方法を具体的に解説していきます。

1、減価償却費とは

減価償却とは、時間の経過や使用によって、その価値は減少していきます。
その価値が減少するのを数値化したものが減価償却費で、ものによってその償却方法は変わります。
減価償却をする固定資産を取得したときに、耐用年数に応じて会計処理として費用計上していきます。

減価償却を行う固定資産は以下のようなものがあります。

・建物
・建物付属設備
・構築物
・車両・運搬具
・工具
・器具・備品
・機械・装置
・生物

建物などはイメージがつきやすいとは思うのですが、牛や馬などの生物までも償却の対象なのは驚きますね。

これらの減価償却費を増やしていく方法をここからは具体的にご紹介していきます。

2、減価償却費を増やす3つの方法

建物や設備や機械、自動車などは時間が経過するごとに価値が落ちていきます。

その価値がなくなっていく数値を表したものが減価償却です。

その減価償却を増やすには以下の3つの方法があります。

1つは償却方法で「定率法」を選択することです。

減価償却費は耐用年数でのトータルでは変わりませんが、早期に大きく償却をすることができます。

その方法が定率法です。
減価償却の定率法とは、ある減価償却資産の償却費配分を残存価格に対して、毎年一定の割合にする方法のことです。

例えば
耐用年数7年の固定資産100万円を定率法で減価償却してみましょう。

減価償却費=未償却残高(取得価額-償却累計額)×償却率
1年目定率法:1,000,000円×0.286=286,000円
2年目定率法:714,000円×0.286=204,204円
3年目定率法:509,796円×0.286=145,802円
4年目定率法:363,994円×0.286=104,102円
5年目定額法:259,892円×0.334=86,804円
6年目定額法:173,088円×0.334=86,804円
7年目定額法:86,284円×0.334=86,283円

対して毎年一定額で償却を行う「定額法」での減価償却をしてみます。

1年目定額法:143,000円
2年目定額法:143,000円
3年目定額法:143,000円
4年目定額法:143,000円
5年目定額法:143,000円
6年目定額法:143,000円
7年目定額法:142,000円-1円

よってこの場合では
286,000円-143,000円=143,000円で2倍の償却費の差がでます。

経営は利益を同じように出させるかどうかはわかりませんので、早期に償却を行い、法人税負担を抑えておくことは有効な手段といえます。

2つ目は、耐用年数の短い資産を購入することです。

例えば、自動車で4年落ちの中古自動車は節税ができるといわれています。

それは4年落ちの中古自動車を定率法で減価償却を行うと「1年」で1円を残しすべて償却することができるためです。

例えば300万円の新車・3年落ちの中古車・4年落ちの中古自動車を購入したとします。
300万円で新車を買った場合、6年かけて毎年50万円の減価償却費になります。
300万円で3年落ちの中古車を買った場合、3年かけて毎年100万円の減価償却費になります。
300万円で4年落ちの中古車を買った場合、1年間で一気に300万円の減価償却費になります。

毎年自動車を買い替えているという社長は、無駄遣いをしているのではなく、毎年価値の落ちない自動車を購入し、その年で一気に償却をして、翌年に再度一気に償却ができる中古自動車に買い替えを行っているのです。

厳密にいうと4年落ちではなく、3年10か月前に販売が開始された中古自動車であれば1年で一気に減価償却できます。

このように減価償却費を短期間で計上するためには耐用年数を短くして短期間に計上できる資産を活用するのが有効です。

1点、この減価償却では毎月償却となるため決算ぎりぎりで購入しても1か月分しか償却費を計上することはできませんので注意が必要です。

3つ目はオペレーティングリースを活用することです。

オペレーティングリースは、リース会社が窓口となり航空機や船、コンテナを1口数千万円で販売している商品です。

リース会社は資産を航空会社や海運会社に貸し出して最後に資産を売却することで得る利益を、リース会社は出資してくれた法人へ分配します。

オペレーティングリースでは法人が出資した年は出資金の80%、翌年では出資金の20%で合計100%の減価償却を計上できるといった商品がオーソドックスです。(償却割合は商品によって変わります。)

よって、突発的に利益が出た場合などでは、このオペレーティングリースで多くの減価償却を計上することができます。

ただし、このオペレーティングリースでは、4つのデメリットがあります。
1つは、将来に結局益金計上されるのでその益金対策が必要であること。
2つ目は途中で解約ができないため、キャッシュの余裕がないといけないこと。
3つ目は多くの商品は外貨建て商品であるため、為替リスクがあること
4つ目はリース先の航空会社などがつぶれると計画通りの資金を将来受け取れないこと

オペレーティングリースは業務で活用するわけではない投機的なものなので、これらのデメリットがあることを理解したうえで活用しなければなりません。

まとめ

減価償却での節税は銀行評価を下げずに法人税負担を軽減することができます。

その方法は3つあり、①定率法で償却すること②短い期間で償却できる資産を活用すること③オペレーティングリースを活用することです。

またその活用方法のメリットデメリットを理解したうえで減価償却の活用に生かしてほしいと思います。

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