決算対策で問題となるのは、節税対策はしたいが手元に現金がなく対策ができないということです。
本日ご紹介するのは、簡単にいうと買掛金・未払い金で必要なものを購入し、手元の資金を使わずに決算対策をして節税を行う手法です。
1.買掛金の計上
買掛金として計上するものは以下の2種類です。
- 仕入高
- 外注費
買掛金とは、代金を後払いで仕入れた場合の仕訳で使う勘定科目です。短期的な借り入れを仕入れ先からしている状態とも言えます。「売掛金」と同じく掛取引の仕訳を行います。買掛金は代金を後で支払う義務がある「仕入債務」のため、貸借対照表の負債に含まれます。買掛金の仕訳は、以下のようになります。
掛けで仕入れたときの仕訳
例)商品を10,000円で仕入れて代金を掛けとした場合
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
仕入 | 10,000円 | 買掛金 | 10,000円 |
仕入の掛取引のため、「買掛金」を使います。負債が増えたため、貸方に買掛金を記入します。仕入という費用が増えたため、借方には仕入を記入します。
仕入高とは
仕入高とは、販売するための商品で、売上高に対応する原価の仕入分をいいます。
仕入高計上の注意点
仕入の計上基準としては、実務的には検収基準と支払基準があります。一般的には、検収基準を採用しています。
検収基準とは、 商品等の販売を行う企業における売上高の計上タイミングを示す基準であり、商品等が相手先で 注文の際の品質条件・数量・仕様に合っていると確かめた上で、受け取ることでを計上する方法のことです。
支払基準は商品や材料の購入代金を支払った時点で仕入の計上をする方法です。
決算締切日の特例
- 期末に商品を仕入れる習慣があること、または他に相当の理由があること
- 締切日は事業年度終了の日以前おおむね10日以内の一定の日であること
- 毎期(少なくとも3年間)は継続して適用すること
2.未払金の計上
未払金として計上するものは以下の4種類です。
- 決算賞与
- 未納の税金
- 社会保険料
- 労働保険料
決算賞与
決算賞与は当年度の利益が出ている場合に、通常の賞与に加えて、決算期に従業員へ利益を還元するため支払う賞与です。
通常の賞与は、実際に支払った日の属する事業年度の損金となりますが、決算賞与については、一定の条件を満たせば、未払金として計上が可能となります。
実際の従業員への決算賞与の支給は、翌期の最初の月の月末までに支払います。例えば、12月決算法人であれば、1月末までに支払うことになります。
ただし、決算賞与を支給することは決算期末までに従業員へ通知することが必要です。
未納の税金
決算期末までに支払っていない税金でも、以下の6種類の税金は未払金として損金計上することができます。
- 消費税
- 不動産取得税
- 自動車税
- 固定資産税
- 都市計画税
- 利子税
社会保険料・労働保険料
社会保険は、健康保険と厚生年金です。労働保険料は 労災保険と雇用保険です。
社会保険は、当月分を翌月に支払うため、決算月の分は翌事業年度の支払いとなりますので、 決算月の分は未払計上することが可能です。
当然ですが、社会保険料は会社負担分のみを未払計上します。
3.未払い費用の計上
買掛金・未払い金だけでなく、「未払費用」も損金として今期の損金で計上できます。 「未払費用」 として計上する項目は、以下の4点です。
- 支払利息
- 従業員に対する給料
- 水道光熱費
- 通信費
支払利息
借入金の支払利息も、後払いであれば未払計上できます。
例えば、返済日が毎月5日の場合は決算月の6日から末日までの期間に対する利息は当期の費用となるため、未払費用として計上することができます。
まとめ
買掛金と未払金を計上することで決算対策として節税することは、短期的に仕入れ先などから借り入れをして商品を仕入れているような手法です。
しかし、何でも決算期に買掛金・未払い金として計上して節税ができるわけではなく、ある程度計上できる項目は決まっています。
また、毎期のように継続的に買掛金と未払い金で処理を行わなければ税務否認を受ける可能性もありますので、しっかりと顧問税理士さんへ確認をして、買掛金・未払金を計上した節税を行いましょう。